終活でお葬式【種類・費用・デメリット】業者が嫌がる本音の評価

終活の流行に伴い、多様化が進んでいるお葬式。
単なる「宗教儀礼」「伝統」「慣習」「文化」として、画一的なお葬式を選ぶ人は、もはや少数派です。
例えば、葬儀の種類や費用の相場など、
「商品」「サービス」「情報収集の対象」
として、より客観的に評価する声も聞かれるようになりました。
必ずしもメリットだけではない、いわゆる「普通の」お葬式。
そして時流に乗った「今風」「オシャレな」お葬式。
葬儀業者が嫌がるデメリットの部分も本音(辛口)で評価しました。
◆ 文/やさしい終活 編集部
一般葬
一般的な「しきたり」「伝統」「慣習」に則ったお葬式。
僧侶の読経、弔辞、焼香などを行います。
※加えて前日に「通夜」を行う形が9割を占めています
近親者のみで行う場合は「葬儀式」と呼ばれることもあります。
※知人や友人など広く一般の人々が参加する場合は「告別式」として区別することも
通常は宗教(仏教)的な儀礼によって執り行われますが、近年では多様化も進んでいます。
一般葬のメリット
プランやオプションが豊富(選択肢が最も多い)
参列者の人数を問わず、様々な規模の葬儀に対応できる
遺族の負担を軽減できる(葬儀社のサポートが手厚い)
後日に個別の弔問に対応する必要がない
親族や世間の理解を得やすい(式に対する批判や反対意見が少ない)
参列者が多いほど香典も増えて、実質的な費用負担を軽減できる
一般葬のデメリット
費用が高額になりがち(相場は約200万円~300万円)
※「終活セミナー」等でも高額販売されているため注意
参列者が増える傾向にある(香典返しなどより多くの手間がかかる)
参列者の人数、規模の予測が難しく、準備に過不足が生じやすい
個別の参列者には、丁寧に時間をかけて対応することが難しい
葬儀社によっては、マニュアル的、形式的な流れに終始してしまう
家族葬
「家族のみ」「近親者のみ」「ごく近しい知人のみ」が参列するお葬式。
一般の参列者を招く「本葬」に先立って行う家族葬を「密葬」と呼びます。
本葬を行わない小規模な葬儀 = 家族葬
本葬とは別に行われる小規模な葬儀 = 密葬
として区別する場合があります。
厳密な定義はなく、一般的には「小規模なお葬式」が広く家族葬と呼称されます。
家族葬のメリット
費用を安く抑えられる(相場は数十万円~100万円以内)
※そのため終活に熱心な方ほど家族葬を選ぶ傾向あり
個別の弔問客に時間をかけて丁寧に対応できる
親しい参列者のみが集うため、アットホームで心のこもった式となりやすい
形式にとらわれず、故人や遺族の意思を最大限に反映できる
(様々な趣向や個性を演出できる)
式場、会食、香典返しなど、準備に要する手間・時間が少ない
家族葬のデメリット
香典の総額が減る傾向にある(結果として葬儀費用を香典で賄えないケースも)
参列者を取捨選択する必要があるため「呼ばれなかった人」の不満を招きやすい
式の流れや演出など、故人(または遺族)の裁量に委ねられる部分が大きく、考慮すべきポイントも増える
後日に個別の弔問客に対応する必要がある
直葬(火葬式)
「火葬のみ」または「火葬と読経のみ」を行う最も簡素な葬儀。
知人や親族の少ない方、費用を安く抑えたい方、または、形式的な葬儀に意味を見出せない故人や遺族の意向などを反映して行われます。
直葬の場合も遺体は24時間安置する必要があり、安置場所の選定も必要です。
(病院、自宅、葬儀場、斎場、お寺など)
参列者は通常数名~10名以下。
火葬に要する時間は1~2時間程度です。
葬儀社によっては別途、故人との面会(お見送りする)時間を長く設けるプランも用意されています。
直葬のメリット
準備に要する手間や費用を最低限に抑えられる(数万円~20万円前後)
※「終活ブーム」に伴い希望者が急増中
遺族の負担を軽減できる(家族から感謝されるケースが多い)
親しくない知人、疎遠な親戚からは「葬儀に呼ばれなくて助かる」という声も
(無宗教の参列者に宗教儀礼を強制せずに済む)
他の葬儀に比べて所要時間が非常に短い
弔問客に対する香典返し(返礼品)、後日の挨拶回りなどが不要
【直葬のデメリット】
親族や知人の反対・反感を招く恐れがある(世間体が悪く、理解を得られにくい)
お別れの時間を確保できず、心の整理がつきにくい
(直葬を選んだ当事者が心残りや後悔、罪悪感を口にする体験談も多い)
後日の弔問客に個別に対応する必要がある
(故人の交友範囲が広いと数十人~数百人の弔問を受けることも)
菩提寺によっては、直葬した遺骨は納骨を断られるケースも
総額の費用が安い反面、オプションの費用(追加料金)が高額になりがち
生前葬
当人が「亡くなる前に自分自身で行う葬儀」。
「健康で元気なうちに感謝の気持ちを伝えたい」
「家族に負担をかけたくない」
「より自分らしい式にしたい」
「明るく楽しくお別れしたい」
そんな当人の意向を最大限に反映できる葬儀として、徐々に普及しています。
長寿のお祝いもかねて、還暦(60歳)古希(70歳)、喜寿(77歳)などの「祝い年」に催す一種の「パーティー」、終活におけるセレモニーとしても人気を博しています。
世間一般には、多くの有名人・芸能人が生前葬を行った影響もあり、「オシャレな葬儀」「個性的なお葬式」として認知されています。
生前葬のメリット
形式にとらわれず「自分らしい」「趣向を凝らした」式を行える
立食パーティーや食事会など、明るく楽しい雰囲気を演出できる
自宅での会をはじめ、プラン次第では費用の節約も可能
自身で参列者や家族に感謝の気持ちを伝えられる
死後の葬儀が不要となるため、遺族の負担を軽減できる(ただし例外あり)
時間上の制約がない(じっくり時間をかけてプランを考えられる)
生前葬のデメリット
世間の理解を得られにくい。一部に「縁起が悪い」とする声も
遺族が世間体を気にするなどして、当人の没後に一般葬を行う例も多い
(結局は費用や手間が二重にかかる)
当人の没後に遺族や知人の心をケアする「グリーフケア」の観点が乏しい
(気持ちの整理がつきにくい)
事前に家族に説明し、話し合うなどの配慮が必要になる
(自分本位のイベントとなりやすいため要注意)
1日葬
通夜を行わず1日(葬儀・告別式)のみで行うお葬式。
「一日葬儀」「ワンデイセレモニー」と呼ばれることもあります。
家族や近親者のみ、または数名の知人を招いて行う小規模な式が一般的。
「時間の確保が難しい」
「費用を安く抑えたい」
「しかし直葬ではしのびない」
そうした需要に応える葬儀として、近年増加傾向にあります。
ただし、通夜か告別式の「どちらか一方に参加する」ということができなくなるため、結果的には参列者から「日程の選択肢を奪う」側面も。
スケジュール調整など考慮しながら、参列者の選定は慎重に行う必要があります。
1日葬のメリット
時間と費用を節約できる(相場は40万円~50万円)
遠方から来る参列者の負担を軽減できる
(宿泊場所などを考慮する必要がない)
直葬と比較して「お別れの時間」をより多く確保できる
(心のこもった式となりやすい)
1日葬のデメリット
参列者の数が限られる(親族や知人が多い場合は選定に手間を要する)
後日、個別の弔問客(参列できなかった人)に対応する必要がある
参列者はかえって日程の調整が難しくなるケースも
伝統に則った形ではないため、批判や反感を招きやすい
参列者が少ないので香典も少ない。「1日葬なら費用は半分」と考えるのは誤り
(実質的な費用負担が増えるケースも)
◆ 文/やさしい終活 編集部
最終更新日:2022年3月16日