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女性の終活は困難!「おひとりさま」でも老後資金は2000万円必要

おひとりさまでも老後資金は2000万円必要

「女性の終活は男性より難しい」とよく言われます。
その理由は、

● 女性の方が平均寿命が長い
(だからより多くの老後資金が必要)

● しかし女性は年金の支給額が少ない
(男性の平均受給額は約18万円。女性は約11万円)

● 女性は収入が低いため老後資金の準備も難しい

以上のような「統計的事実」に基づいています。

どうすれば不足する老後資金を補えるのか?
女性の厳しい現状と、今後の対策についてまとめました。

おひとりさま」の老後を「お金の話」から考えていきます。

老後に必要な資金はいくら?【試算の一覧】

老後に必要な資金については、様々な試算が提示されています。

2000万円(金融審議会 市場ワーキング・グループの報告書)
※いわゆる「2000万円問題」の原因となった資料

1500万円~3000万円(金融庁による2019年4月の試算)

2400万円~4800万円(東京大学高齢社会総合研究機構)

3500万円(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」)

1200万円(退職金を2500万円と仮定した場合。ポータルサイトAll Aboutより)
参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/43923/

3500万円~4500万円(オンラインマガジンPRESIDENT Onlineより)
参考:https://president.jp/articles/-/10268

※上記はいずれも「夫婦二人」世帯を想定した金額

ただし老後資金について正確な試算は不可能

専門家によって統計データや試算が慎重に検討・分析されている老後資金。
しかし、試算はあくまで一例(モデルケース)です。

原理的には誰も「正確な金額」を算出することができません。
今後の「不確定要素」と「個人差」が大き過ぎるためです。

不確定要素

年金の減額をはじめとする制度変更の可能性
賃金や物価の変動
大規模な災害や経済不況による突発的なコストの発生

個人差

持病の有無や健康寿命の違い(介護や医療の費用差)
生涯賃金や退職金の多寡
「ゆとりある生活」と「最低限の生活」のどちらを目指すのか(生活水準の違い)
既婚者か「おひとりさま」か
子どもや家族からの支援の有無
持ち家やローンの有無

などなど、様々な要素が複雑に絡み合って「老後に必要な資金」は増減します。

「自分の老後にいくら必要なのか」は、各個人に千差万別の答え(予想)があって当然。
すなわち、あなた自身があなたの経済状況に応じて、独自に試算する他ありません。

以上の点を踏まえたうえで、
それでもいくら老後資金があれば安心なのか
目安となる金額を探っていきます。

おひとりさまの老後は「試算額の半分あれば良い」は間違い

金融庁の報告書に端を発した「老後2000万円不足」問題。

この金額もまた、「平均的な老夫婦の一例」に過ぎません。こうした試算はあくまで参考程度に受け止めましょう。

ご自身に必要な老後資金は、より厳密に各々で精査する必要があります。

現状よくある間違いとして、以下のような誤解が広がっています。

● 老後2000万円あれば、とりあえず年金だけで暮らしていける
(逆に2000万円の貯蓄がなければ生活できない)

● 2000万円あれば老後に「過不足のない普通の暮らし」を営むことができる

●「おひとりさま」は老後のコストが夫婦の半額なので、1000万円くらい貯めれば良い

なぜこれらの風説(ウワサ)は誤りなのか?
実際にはいくら必要なのか?

おひとりさま」の観点からさらに検討してみましょう。

前提として年金の「受給額」は減り続ける

野党が「2000万円不足問題」の責任を追及すると、安倍首相は「マクロ経済スライド」という言葉を連呼しました。

マクロ経済スライドがあるから、年金が不足する恐れはない
だから年金制度は100年安心

現状そのような趣旨で語られている用語ですが、これは一種の詭弁(ごまかし)です。

マクロ経済スライドとは、年金の「制度」を維持するための仕組み。

簡単に言えば「物価や賃金の変動に応じて年金を増減させる」ことで、年金制度の延命を図ったものです。

しかし年金の「支給額」は維持されません。

すなわち、
分かりにくい名前にして、国民にバレないように年金を減らす仕組み
これがマクロ経済スライドの本質。

例えば、物価もしくは賃金が10%上昇したと仮定します。するとマクロ経済スライドが発動されて、年金の受給額も5%アップしました(とここでは仮定します)。

名目上は支給額が「増額」されたので、国民の多くは「年金が増えた」と錯覚します。

しかし実のところは、物価や賃金の上昇に年金の支給額が追い付いていません。
相対的な年金の価値は、増えるどころか逆に5%「目減り」しています。

…とこのような形で、マクロ経済スライドの運用が続く限り、私たちの年金は減り続けていきます。

※実際にはもっと複雑な計算式が採用されています。ここではざっくりとした概要をつかむため、根拠となる「財政検証」などの数字は省きました。

詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/popup1.html

「受給年齢」も引き上げられていく可能性大

年金は支給の減額と並行して「受給年齢の引き上げ」も検討されています。

主な提言や資料は下記の通り。

● 2012年 「社会保障・税一体改革大綱」に盛り込まれた支給開始年齢引き上げの検討(閣議決定)

● 2013年 支給開始年齢の70歳への引き上げを先送り(社会保障制度改革国民会議)

● 2017年 「高齢者」の定義を「65歳以上」から「75歳以上」へと見直す提言(日本老年学会)

● 2017年 年金の支給開始年齢を70歳以降に繰り下げる提言(自民党「一億総活躍推進本部」)

● 2017年 年金の支給開始年齢を引き上げるべきという提言(高齢化社会対策の基本的在り方等に関する検討会)

● 2018年 支給年齢68歳への引き上げ案を厚生労働相が否定(財政制度等審議会)

上記はあくまで、受給年齢に関する提言や検討のごく一部。
しかし、現在の年金問題を端的にあらわしています。

「年金の制度を維持するためには、受給年齢を引き上げる他ない」

「しかし、年金制度の抜本的な見直しは有権者の反感を買う」

「したがって(選挙に負ける恐れがあるので)受給年齢の問題はとりあえず先送り」

そのような堂々巡りが、もう数十年も続いています。

とは言え将来的な受給年齢の引き上げは、専門家の間でも意見が一致するところ。

政治の世界では消費税増税と同じく「ハバ抜き」のように扱われる年金問題ですが、いずれにしても「時間の問題」であるこは間違いなさそうです。

「老後2000万円不足」問題はむしろ「楽観的な試算」でしかない

「老後に必要な2000万円」は、あくまで現在の給付水準から算定されています。

しかし実際には、先ほど述べたように「受給の減額」「受給年齢の引き上げ」によって、「2000万円以上の老後資産が必要になる」事態はほぼ避けられません。

「2000万円の年金不足」すら甘い見通しでしかないのです。

仮に受給年齢が70歳に引き上げられた場合は…
60歳で退職すると「無年金」の期間が10年も続くことに!

老後に必要な生活費は、夫婦二人で月に平均約26万円。
無年金の10年間を何とかやり過ごすだけでも、

26万円×12ヵ月×10年間 = 3120万円

単純計算でこれほどの老後資金が必要になります。

「おひとりさま」の生活コストは夫婦の6割。しかも年金は少ない

「年金が減額されても、その分だけ簡素な生活にすれば良い」

そのように考える方も多いはず。

例えば「おひとりさま」はどうでしょうか。
単身世帯なら、生活費を「夫婦の半額以下」にまで節約できそうな気がするかもしれません。

しかし「おひとりさま」の生活費は平均で15万円程度。
「夫婦の半額以下」どころか、生活コストはより割高になる傾向があります。

さらに「女性のみ」世帯で見た場合、年金の平均受給額は約11万円。

単純計算で「おひとりさま」の生活費から受給額を差し引きすると、毎月約4万円不足します。

すなわち、

「おひとりさま」の生活費は夫婦の約6割
しかし年金の受給額は男性より少ないケースが多い
平均的なケースで試算すると30年間で(4万円不足×12ヵ月×30年)=1440万円が必要

「おひとりさま」はそんな厳しい老後を迎えることになります。

「おひとりさま」はいくらあれば安心の老後を迎えられるのか

試算を見る限り、「おひとりさま」が年金のみで生活できる将来は期待できません。
加えて、今後の制度変更の可能性として、

数十年で年金の支給額が2~3割減
支給開始年齢が70歳前後にまで引き上げられる

この「2大リスク」にも備えておく必要があります。

仮に年金の支給額が2割減ると、「おひとりさま」の年金は月額約9万円。
平均的な生活(月15万円)を維持するためには、毎月6万円程度が不足します。

したがって先ほどと同じく30年間で試算すると、

6万円不足×12ヵ月×30年 = 2160万円

最低これだけの老後資金を準備しなくてはなりません。

ちなみに、「ゆとりある生活費」は夫婦2人で月36.6万円。(生命保険文化センターによる試算)
「おひとりさま」がその6割(22万円)で「ゆとりある老後」を実現するためには、

生活費22万円 - 年金9万円 = 13万円
を毎月捻出する必要があります。

30年間で必要な額は、
13万円×12ヵ月×30年 = 4680万円!

しかし、「おひとりさま」の平均貯蓄額は900万円程度。
どうやら私たち庶民にとって「ゆとりある老後」は「夢のまた夢」という他なさそうです。

50代からできる「おひとりさま」の老後資金対策 = 終活による節約

現状の統計を見る限り、「おひとりさま」が「ゆとりある老後」を迎えることは難しいかもしれません。
しかし、堅実な「必要最低限の暮らし」を実現する手立てはあります。

例えば、

様々な「終活」によって無駄なコストを省く
60歳以降も就労を続ける
投資で年金や退職金を運用する(ただしリスクあり)
生活の水準を徐々に落として「質素な暮らし」に慣れておく(並行して貯蓄する)
生活保護を受給する(最終手段)

などなど。

私たちは最も確実な方法として「終活ノート」による節約をおすすめしています。

終活で医療と介護の費用を節約!終活ノートの節約効果は年100万円

月に数万円を「副業や投資で稼ぐ」ことは困難。しかし月数万円を「節約する」ことは意外と簡単です。

特に「おひとりさま」は個人の裁量で節約できる部分が多くあるので、終活の節約効果は大。
「始めるのが早ければ早いほど得をする」
それが終活の特徴です。

50代から終活を始めるとすると、最優先すべき事項は老後資金の準備。
医療や介護、そして供養などの選択肢は、資金があってこそ始めて手に入るものです。

60歳以降も就労を続ける場合に利用できる2つの制度

「年金の支給開始年齢が70歳に」

そう遠くない将来に到来するこの「リスク」に備えて、私たちは「60歳以降の就労継続」についても検討しておく必要があります。

「退職年齢を70歳に引き上げる」方針も政府から発表されています
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201905/15miraitoushi.html

その際に利用したいのが、

高年齢雇用継続給付(雇用保険)
在職老齢年金(厚生年金)

以上2つの制度。
制度の概要は下記の通りです。

高年齢雇用継続給付

60歳以降「給与が下がった場合」に受け取れる給付金。
同じ事業所で勤務を継続する人、転職した人、両方が対象になります。

給付の条件は、

60歳以降の賃金(月額)が、60歳時の75%未満
雇用保険の加入年数が5年以上
賃金の月額が359,899円未満(2019年7月まで。この額は毎年8月1日に変更されます)
60歳~65歳まで

以上の条件を満たすと、60歳以降最高で賃金の15%が支給されます。

申請や手続きはハローワークにて行います。
※通常は事業主が行うため、給付を受ける当事者は、個別に手続きをする必要はありません。

在職老齢年金

60歳以降に「働きながら受け取れる年金」が在職老齢年金。

厚生年金の一部を減額したうえで支給されます。

減額される年金の計算式は下記の通りです。
※65歳未満と65歳以上で計算式が異なります

60~64歳まで

年金と賃金の合計額が28万円以下の場合 ⇒ 全額支給されます

賃金が47万円以下で年金が28万円以下の場合 ⇒(賃金+年金-28万円)÷2

賃金が47万円以下で年金が28万円超の場合 ⇒ 賃金÷2

賃金が47万円超で年金が28万円以下の場合 ⇒(47万円+年金-28万円)÷2+(賃金-47万円)

賃金が47万円超で年金が28万円超の場合 ⇒ 47万円÷2+(賃金-47万円)

※賃金には賞与も含まれます
※上記の計算式はすべて「月額」に適用されます

65歳以上

65歳以上の在職老齢年金は減額の幅が縮小されます。

年金と賃金の合計額が47万円以下の場合 ⇒ 全額支給されます

年金と賃金の合計額が47万円以上の場合 ⇒(年金+賃金-47万円)÷2

老後資金を「投資で賄う」のは危険。終活に不向きな理由

老後の資産については、様々な「投資による運用」を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし投資にはリスクがつきもの。
基本的には「損をする可能性の方が高い」と考えてください。

例えば株式の場合。
個人投資家は、年間で投資額の1~2%の利益を確保するために心血を注いでいます。

仮に1000万円投資しても、上手くいって利益は年間で10万円~20万円。
アルバイトの月給と同じくらいの金額です。

しかも、貴重な資産を予測できない様々なリスクで失う恐れもあります。

現状、「消費増税」「五輪特需の終焉」を控える日本経済の先行きは不透明。
高齢化による人口減少で、不動産価格の暴落もほぼ確実視されています。

したがって、
「投資は終活から外すべき」
というのが私たちの結論。

少なくとも「老後の安心」を求めている方に、投資をおすすめすることはできません。
※高齢者に投資を勧める「悪質な終活セミナー」にご注意を!

「おひとりさま」の終活に最適な「生前契約」

身寄りなしで家族の支援を期待できない

一人暮らしだから医療や介護に関して(将来的に)第三者のサポートが欲しい

死後に自分の供養を誰かにお願いしたい

そんな「おひとりさま」におすすめなのが生前契約。
様々な手続きや支援を専門家に委託する仕組みです。

例えば、

入院時や手術時の立ち合い、各種手続き
認知症になった場合の財産管理
老人ホーム、介護施設などへ入居する際の身元保証
介護福祉サービスを利用する際に必要な各種契約の代理
死後に必要な供養、財産の処分、知人への連絡など

以上のようなサポートが全て生前契約の対象となります。

生前契約の依頼先は、弁護士、行政書士、NPO法人など。

個別に専門家へサポートを依頼するより、生前契約のパッケージ(プラン料金)は非常にお得です。
不測の事態に備える一つの方法として、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

「おひとりさま」の老後資金対策【まとめ】

必要な老後資金の金額ついては、様々な試算がある。一概に「いくら必要」と断言はできない

年金制度の変更や経済情勢などの「不確定要素」、終活する当事者の「個人差」を考慮する必要あり

「おひとりさま」の老後資金は「夫婦世帯の半額あればいい」という考え方は誤り

今後、年金の受給額は減り、受給年齢は引き上げられていく可能性が高い

「老後2000万円不足」という試算すら楽観的な金額。実際には「3000万円不足」という試算も

「おひとりさま」の生活費は夫婦世帯の約6割。よって1500万~2000万円は老後資金を準備したい

もっとも堅実な貯蓄の方法は「節約を基本とした終活」

60歳以降も就労を続ける際には「高年齢雇用継続給付」「在職老齢年金」の制度利用を

投資による老後資金の運用は、終活になじまない(高リスク)

「おひとりさま」で身寄りのない方は「生前契約」も検討する価値あり

● 文/やさしい終活 編集部
最終更新日:2020年6月6日